試される大地・北海道の片隅の試されるパフェ屋に行ってきた
試される大地なんて揶揄される、凍える北海道に出張で飛んできています。
神奈川の中では比較的暖かい地域で生まれ育ったためいつも震えております。
積もった雪はいつまで経っても解けないし、車にはつららが付いているし、
二つ名の理由は着いた瞬間になんとなく察しました。
そんな寒くて仕方のない北海道、どういう訳かもっと青ざめたいのか夜パフェとかいう文化があるそうです。
寒いなら温かいものを食べてから寝なさいよ、と思うのですがこちらも甘党。
出張先の同僚や上司のオススメの夜パフェを巡っています。
さてそんな中で一件とんでもないパフェ屋に先日辿り着いてしまいました。
その名もピープル・ピープ。
すすきのの一角にある少し古びた店構えで、看板には「パイとケーキのみせ」と大きく書かれています。
こちらのお店、先に言っておくと味は絶品です。
素材の良さが生かされた、甘さは控えめのパフェなのですが、だからこそ美味しい。
では何がとんでもないのか?
ズバリ、雰囲気と待ち時間です。
まず吹雪く札幌の夜に長蛇の列が古びた建物の前にできているのもなかなかのものです。
やっと店内まで辿り着けたと思うと店を一人で切り盛りしているマスターからの少し圧を感じるルール説明と覚悟の確認が始まります。
「うちの店、初めて?」
「すごく待つよ。長いと23時頃まで待つよ」
「本当に大丈夫?」
「スプーンを出したらもうキャンセルできないからね」
少し気圧されつつも大丈夫!折角だからちゃんと待ちます!と返答し無事中へ。
仄暗い無音の店内に通されます。(全席埋まったところでジャズが流れ始ました)
席に着く際には店のルールが書かれた紙とメニューを渡されます。
「甘いものが好きなお子様、甘いものが好物な大人にはピープル・ピープのパフェは難しいパフェです。」
「一斉に作るため、入店が遅かったテーブルにも先にパフェが届くことがあります」
メニューを見てみるとなるほど、ラム酒の入ったパフェやビターチョコを使ったパフェなどが並んでいます。
同僚とお話しながら待つこと30分、やっとこさオーダーのためにマスターが現れます。
大食いキャラとして生きていたので、パフェを二個頼もうとすると再びマスターからの確認が始まります。
「うち初めてなんだよね?」
「そのパフェは大きいよ。一つにした方が良いんじゃないかな。やめといた方が良いよ」
なかなかの剣幕に押されて、芋を使ったパフェに絞って注文しました。
同僚も一つパフェを頼み、二人とも食べたかったヨーグルトのパフェは二人でシェアすると言うと了承してくれました。
さてここからが長い。本当に長い。
時に同僚と、時に相席になったテーブル向かいの常連客らしき男性と話して時間を
待つことなんと3時間。
19時に入った店で22時にパフェがやってきました。
マスターの言う通り、他のパフェと同じ量なのにお腹に溜まる溜まる。
芋を綺麗に潰してアイスと混ぜ合わせてあったので、味は美味しいパフェなのに、
実質芋とクリームを大量に食べているのと同じことをしていた訳です。
そりゃお腹も膨れる。
パフェだけで満腹になって苦しくなるのは初めての経験でした。
常連さんから聞いたところ、店内のルールは全てトラブルを回避するために、
長年の失敗から作られたものだそうです。
「良いパフェを作るためには時間がかかる。だから長時間待ってね」
「作ってる途中で帰られたら、待ってるお客にも迷惑だからやめてね」
「注文しておいて、食べてイメージと違った!となるのはお互いにとって不幸だから先に普通のパフェとは違うことを言っておくね」
そんな気遣いだった訳ですね。
マスターを前に色々と覚悟を確かめられるのは、どきどきしますが、
先に言われていないと面倒になる客も多いだろうな、というのもわかるので納得です。
結局お店を出たのは0時を過ぎてからでした。
翌日も仕事だったのでなかなか辛かったですが、それでもとても満足しました。
長時間近距離に知らない人がいても、同じ空間とルールを共有しているので、
自然と会話が始まる雰囲気。
そして素晴らしく職人技のパフェ。
素晴らしかったです。
また出張に来ることがあれば是非行きたい夜パフェNo.1ですね。